【都内散策】あの文豪がこよなく愛した一流スイーツ

文豪が愛したお店は「名店」と呼ばれることが多いもの。中には名作に登場した、あのお菓子も。読書の秋、食欲の秋。「文学」をテーマにスイーツをいただくというのはいかがでしょうか。

食通で知られる池波正太郎が通った下町の味

愛玉子 オーギョーチイ
創業:昭和9年
営業時間:10:00~18:00(閉店)
休日:不定休(GW・盆は営業)
TEL:03-3821-5375

【食べログ】
http://tabelog.com/tokyo/A1311/A131101/13018381/

なんと日本で一軒しかない愛玉子専門店。
口当たりがよい愛玉子に特製のレモンシロップをかけていただきます。谷中を紹介する雑誌やグルメ本常連のお店です。

『池波正太郎の銀座日記(全)』より
出典 谷中名物『愛玉子』は懐かし味のスイーツ…の巻 – The Sam’s Room – Yahoo!ブログ

道を歩いているとB社の女性編集者に声をかけられたので、谷中警察署のとなりの店で、むかしなつかしい[愛玉只]を食べる。
[オーギョーチー]は台湾特産の曼茎植物で、これを寒天のようにして、独特のシロップをかけて食べる。
ワタシが子供のころは、浅草六区の松竹座の横町にあった店で、とく食べたものだが、いまは、この店だけだ。ほんとうに五十年ぶりで[オーギョーチー]を食べたことになる。
「どうだ、うまいかい?」
尋ねると、女性編集者は、
「とても、おいしいです」
と、いう。おせじではないらしい。
私も、むかしの風味が少しも損なわれていないようにおもった

実は『こちら葛飾区亀有公園前派出所』第64巻にも登場する
出典 上野・谷中( 谷根千)「喫茶・愛玉子」 贋作御馳走帖 | GONZO SHOUTS

江戸川乱歩も贔屓にした甘味の名店

池袋三原堂 じょうよ饅頭
創業:昭和12年
営業時間:10:00~20:00
休日:無休
TEL:03-3971-2070

【食べログ】
http://tabelog.com/tokyo/A1305/A130501/13003868/

池袋の老舗の和菓子屋さん。さまざまなお菓子が並んでいますが、「池ぶくろう最中」や乱歩にちなんだ「池袋 乱歩の蔵」など地元銘菓が目を引きます。
お店2階の甘味処では、おしるこやクリームあんみつなど絶品スイーツを味わうこともできます。

ここ池袋三原堂は、小説家故江戸川乱歩(本名:平井太郎)氏が足しげく通ったお店としても知られ…
出典 営業プロフェッショナルへの道標

乱歩先生の作品中にて「この店は池袋名物のうちでも光った存在の一つであろう。」との御記述を頂き、…
出典 東京 池袋 三原堂【季節の和菓子・塩せんべい・甘味処のご紹介】

乱歩が特にお気に入りだったのが「じょうよ饅頭」
出典 【東京スイーツ散策】5人の文豪が愛したあま~い味 – グルぺこ

多くの文化人が愛した、江戸時代創業の人気お菓子

長命寺 桜もち 山本や
創業:1717年(享保2年)
営業時間: 8:30~18:00
休日: 月曜日
TEL: 03-3622-3266

【食べログ】
http://tabelog.com/tokyo/A1312/A131203/13002949/

「桜もち」を考案したとされるのがこの「長命寺 桜もち 山本や」
初代の山本新六は墨堤近くの長命寺の門番。周辺の桜葉の利用法として考え付いたのが塩漬けの桜葉で作る「桜もち」だったそうです。

高浜虚子が俳句を残している
出典 江戸の商標8 –「桜もち 山本や」 – 旧江戸美学研究会

桜もち 食うて抜けけり 長明寺

滝沢馬琴ら編の江戸時代の随筆集、『兎園小説』に山本やの記録が残っている
出典 桜餅 – Wikipedia

去年甲申一年の仕入高、桜葉漬込卅壱樽、但し一樽に凡そ二万五千枚程入れ、葉数〆七拾七万五千枚なり、但し餅一つに葉弐枚づつなり、此もち数〆卅八万七千五百、一つの価四銭宛、この代〆壱千五百五拾貫なり。

芥川龍之介の「本所両国」より
出典 桜餅を歩く

僕等はその時にどこへ行つたのか、兎に角伯母だけは長命寺の桜餅を一籠膝にしてゐた。すると男女の客が二人、僕等の顔を尻目にかけながら、「何かひますね」「うん、糞臭(くそくさ)いな」などと話しはじめた。長命寺の桜餅を糞臭いとは、―― 僕は未だに生意気にもこの二人を田舎者めと軽蔑したことを覚えてゐる。長命寺にも震災以来一度も足を入れたことはない。それから長命寺の桜餅は、―― 勿論今でも昔のやうに評判の善いことは確かである。しかし餡や皮にあつた野趣(やしゆ)だけはいつか失はれてしまつた。……

数々の文学作品に登場した老舗中の老舗

羽二重団子 本店
創業:1819(文政2)年
営業時間:9:00~17:00
休日:年中無休(12/30~1/1を除く)
TEL: 03-3891-2924

【食べログ】
http://tabelog.com/tokyo/A1311/A131105/13003775/

団子のキメの細かさを、やわらかくて軽く光沢のある織物の羽二重になぞらえてこのように名付けられたそう。
その名の通りのきめ細かく柔らかな団子は、生醤油を塗った焼き団子と、さらし餡で包んだ餡団子の2種類。

夏目漱石・田山花袋・泉鏡花・司馬遼太郎・・・。中でも正岡子規と岡倉天心は此方のファン
出典 歴史ある柔らか団子は、文学よりも亡き叔父さんの想い出。 : 羽二重団子 本店 はぶたえだんご[食べログ]

夏目漱石の『吾輩は猫である』や正岡子規の『道灌山』などに登場する「芋坂の団子」のこと
出典 「羽二重団子」はなぜ愛される? [和菓子] All About

レジで申し出れば文豪たちと羽二重団子との関係を記した資料のコピーをもらえる
出典 羽二重団子 / 「坂の上の雲」ゆかりの地

文学作品と当店|羽二重団子
公式HPで文学作品に登場する羽二重団子がまとめられています。

両国育ちの芥川龍之介が愛したスイーツ

船橋屋 葛餅
創業:1805年(江戸文化二年)
営業時間:販売/9:00~18:00
       お召上がり/9:00~17:00
休日:無休
TEL:03-3681-2784

【食べログ】
http://tabelog.com/tokyo/A1312/A131202/13003077/

梅や藤見物に亀戸天神に訪れる参拝客に、黒蜜きな粉をかけた小麦でんぷんの餅を出したのがはじまりとされています。
明治初頭に出たかわら版「大江戸風流くらべ」において、江戸甘いもの屋番付に「亀戸くず餅・船橋屋」が横綱としてランクイン。名声を不動のものに。

芥川龍之介、吉川英治、永井荷風ら文化人の方々もしばしば足を運ばれ、くず餅の素朴な味を堪能されていました
出典 会社概要:元祖くず餅 船橋屋

芥川龍之介の「本所両国」の中で、友達のOくんと船橋屋のくず餅を食べる場面が描かれている
出典 株式会社 船橋屋 – 東京都江東区 – 食べ物/飲料品 | Facebook

僕等は縁台に腰をおろし、鴨居の上にかけ並べた日本アルプスの写真を見ながら、葛餅を一盆づつ食うことにした。
「安いものですね、十銭とは。」
O君は大いに感心していた。しかし僕の中学時代には葛餅も一盆三銭だった。

看板の字を書いたのは吉川英治
出典 ☆元祖くず餅 『船橋屋本店』 �〜吉川英治の書の看板 – 夢織人の街TOKYO散歩&思い出の場所 – Yahoo!ブログ

吉川英治は船橋屋の黒蜜をパンに塗って食べるのが好きだったらしく、
その縁でこの木の看板の字を書いたそうです。
吉川英治は通常、このような大きな字は書かなかったため、現存する唯一の物で貴重なんだそうです。

夏目漱石が惚れ込んだ銘菓

空也 もなか
創業:明治17年(1884年)
営業時間:10:00~17:00(土曜日~16:00)
休日:日曜日・祝祭日
TEL: 03-3571-3304

【食べログ】
http://tabelog.com/tokyo/A1301/A130101/13002591/dtlrvwlst/3691839/

文豪を中心に多くの人から愛され続けている銘菓であり、夏目漱石をはじめ、林芙美子の小説にも登場
出典 空也最中 – Wikipedia

特に夏目漱石の空也最中好きは有名で、出没!アド街ック天国では夏目漱石の墓参りの際に、空也最中をお供えする事を勧めていた程
出典 空也最中 – Wikipedia

11月と1月下旬~2月上旬にかけてのみ作られる「空也餅」は夏目漱石の『吾輩は猫である』にも登場
出典 2/2 「空也」の「空也もなか」はなぜ売り切れる? [和菓子] All About

文豪への手土産として愛用された人気スイーツ

群林堂 豆大福
創業:1916(大正5)年
営業時間: 9:30~17:00 
休日:日曜日
TEL: 03-3941-8281
【食べログ】
http://tabelog.com/tokyo/A1323/A132302/13003816/

だいたい午前中には売り切れるため、毎日開店前から多くの人が行列を作っています。柔らかいお餅に、やや硬めに煮た甘いの小豆、上品な甘さの餡は一度食べたら病み付き。

大手出版社の近くという立地から、文豪への手土産にも愛用された
出典 群林堂豆大福を護国寺音羽から通販お取り寄せできます – 雑誌掲載・限定アイテムはお買い物代行でラクラク通販♪

多くの文人に愛されたお団子屋さん

向島言問団子
創業:江戸末期
営業時間:9:30~18:00
休日:火曜日
TEL: 03-3622-0081
【食べログ】
http://tabelog.com/tokyo/A1312/A131203/13002945/

店名は、在原業平の「名にしおはばいざ言問はん都鳥 我が思ふ人はありやなしやと(古今和歌集)」の和歌にちなんで付けられたという『言問団子』
三色の可愛らしいお団子は、小豆餡、白餡、味噌餡。いずれも最高級の素材を用い、添加物を使わないこだわりの逸品。

その上品な味は、永井荷風、幸田露伴、竹久夢二など多くの文人墨客に愛され…
出典 言問団子(コトトイダンゴ) – MapFan Web(マップファン)

永井荷風の代表作「濹東奇譚(ぼくとうきだん)」の舞台は、まさに墨田区向島。
主人公の大江は荷風がモデルとされています。

池波正太郎の小説『鬼平犯科帳』でも登場するが、その時代にはもちろん言問団子はない
出典 言問団子 – Wikipedia

知る人ぞ知る、本物の味

越後屋若狭 水ようかん
創業:1700年代の半ば頃
営業時間:10:00~17:00
休日:日曜・祝日
TEL:03-3631-3605
【食べログ】
http://tabelog.com/tokyo/A1312/A131201/13046248/

食通の間で有名な越後屋若狭の水ようかん。通常6月頃から販売されますが、日によっては予約の段階で購入不可という人気の代物。そのため1週間前位から予約をするのが一般的なようです。

古くは松平公、原敬、夏目漱石など時代を超えて数多くの政治家や文豪に愛された
出典 越後屋若狭|この街に暮らす 森下

他にも、伊藤博文、山県有朋、大隈重信などの政治家、画家・棟方志功にも愛されたそうです。

当時の大名屋敷の御用達で江戸時代のガイドブック『江戸買物独案内』(1824年刊)にはすでに『本所一之橋角 越後屋若狭』が紹介されている。
出典 和栗の“栗きんとん”で和のモンブラン?
素晴らしい江戸老舗「越後屋若狭」: 近所の和菓子屋さんの豆大福、パン屋さんのあんぱん

羊羹好きといわれる夏目漱石は東京の「越後屋若狭」の水羊羹が好物
出典 羊羹

川端康成が愛した駒込のフランス菓子

フランス菓子 カド 駒込
創業:1960(昭和35)年
営業時間:9:00~20:00
休日:無休
TEL:03-3910-6241
【食べログ】
http://tabelog.com/tokyo/A1323/A132301/13060794/

初代店主の高田壮一郎氏はフランスへの「菓子留学生第一号」だったそうです。ちょっと懐かしい感じのオールドスタイルのフランス菓子が楽しめるお店。
マドレーヌは北区名品ガイド30選に選ばれている一品。

店内に川端康成直筆の推薦状が飾ってある
出典 フランス菓子 カド 駒込本店|北区エリアガイド|住みたい街がきっとみつかるエリアガイド【itot】

駒込のフランス菓子店「CADOT」(カド)のプチ・ガトーが三島由紀夫の好物でもあった
出典 週刊 『フクダデスガ』:三島由紀夫が愛したカドのガトー – livedoor Blog(ブログ)

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